この元素サンプルは水素の単体である水素ガス(H2)をガラスに封入したものです.水素は常温・常圧下では気体であり,最も軽い気体としても知られています.1766年の論文で,キャベンディッシュが水素の単離を報告しました.Hydrogenという名前は,水(Hydor)を生じる(gen)ところから.
この元素サンプルは水素の単体である水素ガス(H2)をガラスに封入したものです.水素は常温・常圧下では気体であり,最も軽い気体としても知られています.1766年の論文で,キャベンディッシュが水素の単離を報告しました.Hydrogenという名前は,水(Hydor)を生じる(gen)ところから.
原子番号1,水素原子は,宇宙でもっともありふれている原子です.ビッグバン直後の原子が生まれた時点で,宇宙に存在していた原子の75%は水素で(※重量比の場合.個数で言うと90%程度が水素),この水素と25%のHeが物質のほぼすべてでした.
現在,われわれの身の回りにはもっと重い原子,例えば鉄,炭素,酸素などが豊富に存在していますが,これらの「重い」原子はほぼすべて,水素やヘリウムが恒星の内部で核融合したり,恒星がその寿命を終える際の超新星爆発の際に合成されたり,恒星の爆発後に残った中性子星同士が衝突する際に合成されたと考えられています.つまり,我々のような生命が存在できるのは,宇宙に過去に存在した恒星のおかげと言えるわけです.
このように宇宙では最も多数派を占める水素ですが,現在の地球を構成する元素としては重量比で1%以下というかなりの少数派でしかありません.これは水素原子が非常に軽く,惑星が形成される際に宇宙空間に離散してしまったことが大きく影響しています.
水素原子は,我々の身近なところでは水分子や有機化合物として存在しており,生物を形作る重要な元素のひとつです.産業においても,さまざまな物質の還元に使われたり,最近では燃料電池の燃料としても使用されるなど,その用途は広がっています.