この元素サンプルは,ベリリウムの単体である金属ベリリウムの粒です.ベリリウムは1797年に酸化物として分離され,1828年にヴェーラーやビュシーが単離に成功しました.Berylliumの名称は,この元素が緑柱石(beryllion)から単離されたことにちなむ.
この元素サンプルは,ベリリウムの単体である金属ベリリウムの粒です.ベリリウムは1797年に酸化物として分離され,1828年にヴェーラーやビュシーが単離に成功しました.Berylliumの名称は,この元素が緑柱石(beryllion)から単離されたことにちなむ.
原子番号4のベリリウムという元素にはあまりなじみがないかもしれませんが,エメラルドやアクアマリンといった「ベリル」(緑柱石)と呼ばれる鉱物(Be3Al2Si6O18)の主成分の一つです.
ベリリウムは単体で安定に存在できる最も軽い金属です(※重さだけならリチウムはもっと軽いが,リチウムは空気中で安定ではない).軽い元素(単位体積中の電子が少ない元素)はX線との相互作用が小さいため,ベリリウムはX線をあまり吸収せずよく透過します.真空容器の一部にベリリウムを使うと,真空を保つだけの強度を維持しながらその部分だけX線を通す「窓」として使えるため,X線を用いた測定装置などに使われることもあります.
また,「硬いのに,非常に軽い」という特性は人工衛星での使用に適しているため(※ロケットの能力には限界があるため,打ち上げ重量はできるだけ減らす必要がある),宇宙望遠鏡などの反射鏡にも利用されています.
硬さという面では,ベリリウムと銅の合金は加工後に熱処理を行うことで非常に硬い金属となるため,強度が必要となるさまざまな用途に使われていました.しかしベリリウムそのものにはかなりの毒性があるため,近年では使用が削減されています.