この元素サンプルは,アルゴンの単体であるアルゴンガスをガラス管に封入したものです.アルゴンは1894年にレイリーとラムゼーによって大気から分離されました.アルゴンという名前は非(an)動く/働く(ergon)からとられたとも言われており,アルゴンが貴ガス元素であり,ほとんど何とも反応しないところに由来します.
この元素サンプルは,アルゴンの単体であるアルゴンガスをガラス管に封入したものです.アルゴンは1894年にレイリーとラムゼーによって大気から分離されました.アルゴンという名前は非(an)動く/働く(ergon)からとられたとも言われており,アルゴンが貴ガス元素であり,ほとんど何とも反応しないところに由来します.
アルゴンは大気中におよそ1%弱とそこそこ多く含まれている元素です.このため大気を冷やして液化し,それを蒸留することで比較的安価に製造することができます.化合物を作らず宇宙に散逸しやすい貴ガス元素にしてはそこそこ多くの量が大気中に存在しているのは,地殻に多量に含まれるカリウムによるものです.カリウムのおよそ0.01%を占める40Kは半減期がおよそ12.5億年の放射性元素であり,徐々に崩壊して40Arに変化します.半減期が長いということはこの崩壊がなかなか怒らないことを意味しますが,カリウム自体は膨大な量が地殻に含まれているため,その一部が崩壊するだけでも無視できない量のアルゴンを生成し,それが大気中に拡散して現在の大気組成を作っています.
アルゴンは比較的安価に手に入る貴ガスとして,その不活性さを活かして工業的に活用されています.例えば酸化を防ぎたい製造ラインをアルゴンで満たしたり,酸素に弱い物質を合成する際の反応容器内をアルゴンで満たしたりする用途です.また,アーク溶接の際の保護ガス(熱で周囲が酸化しないように,アルゴンを吹き付けて酸素を遮断する)やレーザーにも用いられており,特にアルゴンとフッ素のガスを混合して用いるArFエキシマレーザーは,各種半導体素子の作成に多用されてきました(10 nmプロセスあたりまで).