この元素サンプルは,スカンジウムの単体である金属スカンジウムをガラス管に封入したものです.スカンジウムは1879年にスウェーデンのニルソンとクレーベにより独立に存在が確認されましたが,単離は1937年にようやく実現されました.スカンジウムという名は,この元素を見つけた2人の故郷,もととなった鉱物(ガドリン石およびユークセン石)の産地にちなみ,スカンジナビア(Scandinavia)から命名されました.
この元素サンプルは,スカンジウムの単体である金属スカンジウムをガラス管に封入したものです.スカンジウムは1879年にスウェーデンのニルソンとクレーベにより独立に存在が確認されましたが,単離は1937年にようやく実現されました.スカンジウムという名は,この元素を見つけた2人の故郷,もととなった鉱物(ガドリン石およびユークセン石)の産地にちなみ,スカンジナビア(Scandinavia)から命名されました.
スカンジウムは地殻中にそこそこの量含まれる希土類元素ですが,この元素を高濃度に含む鉱物がほとんど存在せず,広く薄く分布してしまっているために大量に得にくい元素となっています.この元素はメンデレーエフが周期表を作成した際に「ホウ素の下に位置する未発見の元素,エカホウ素」として1869年に存在が予言され1879年に実際に予想された性質をもつスカンジウムが発見されたことでメンデレーエフの周期表の重要性が確認されました.
スカンジウムは酸化されやすく,また前述の通りまとまった量を確保することも難しいため,単体で利用されることはほぼありません.以前は合金や錯体などが一部の触媒に利用されていただけでしたが,各種の合金に微量に添加することにより金属の粘りを増して割れにくくしたり,電池電極の安定性が増して長寿命化されるなどの優れた特性が見いだされ,現在では用途が増加しつつあります.
スカンジウムを用いた合金としては,アルミ合金への添加が挙げられます.アルミ合金にスカンジウムを添加するとその強度が増加するとともに溶接等での加工性が改善するため,高価でも構わない用途,例えば高級なスポーツ用品や航空宇宙用素材などで利用されています.