この元素サンプルは,マンガンの単体である金属マンガンです.マンガンは1774年にシェーレにより発見され,同年に助手のガーンが単離に成功しました.マンガンの名は,もととなった「マグネシアの石」(Magnes)から.マグネシアは磁石(Magnet)やマグネシウムの語源ともなっています.
この元素サンプルは,マンガンの単体である金属マンガンです.マンガンは1774年にシェーレにより発見され,同年に助手のガーンが単離に成功しました.マンガンの名は,もととなった「マグネシアの石」(Magnes)から.マグネシアは磁石(Magnet)やマグネシウムの語源ともなっています.
単体のマンガンが何かに使われる,ということはほぼありませんが,合金としてさまざまな金属に加えられることがあります.例えばアルミとの合金はアルミの強度を高めつつも耐食性を低下させないことが知られており,しかも溶接しやすくなるため使い勝手も良くなります.また,鉄との合金であるフェロマンガンやケイ素との合金であるシリコマンガンは,製鉄の転炉において銑鉄から過剰な炭素や硫黄分を反応させて除くための補助剤として利用されています.
マンガンは比較的存在量の多い元素で,日本にも多くの鉱床が存在しています.火山性の熱水中には比較的溶け込んでいることが多く,日本各地の温泉地帯などにも鉱床が存在しており,かつては採掘も数多く行われていました.また海底の熱水鉱床などにも広く存在しており,マンガン団塊などとして広く海底に分布しています(ただし採掘コストが高すぎるため,これら海底資源は現状では実用性はありません)
マンガンはさまざまな価数をとることのできる元素で,炭酸マンガンなどの2価の化合物から,二酸化マンガンといった4化の化合物,非常に酸化力の強い過マンガン酸イオンのような7価の化合物まで,様々な価数の物質が知られており,大学入試でもよく取り上げられる元素のひとつです.単体の金属は常磁性体ですが,酸化物などには強磁性を示し磁石となるものも多く,磁性材料として,はたまた興味深い磁気現象の探索対象として数多くの研究が進められています.また,身近なところでは,マンガン乾電池の電極材料としても利用されています.