この元素サンプルは,コバルトの単体である金属コバルトの粒です.コバルトの名はコベルト鉱という精錬に向かない厄介な鉱石に由来すると言われています.一説にはこのコベルトという呼び方は,悪さをする妖精/悪魔であるコボルト(Cobolt)に由来するとも言われていますが,この説には反論も出ています.コバルトの単体は1735年にブラントにより得られました.
この元素サンプルは,コバルトの単体である金属コバルトの粒です.コバルトの名はコベルト鉱という精錬に向かない厄介な鉱石に由来すると言われています.一説にはこのコベルトという呼び方は,悪さをする妖精/悪魔であるコボルト(Cobolt)に由来するとも言われていますが,この説には反論も出ています.コバルトの単体は1735年にブラントにより得られました.
コバルトが単体で利用されることはほぼありませんが,合金としては非常に多用されている金属です.例えば優れた強度を活かしたコバルトハイス鋼,耐熱性を活かしたタービンブレードなど,多少価格が高くても優れた性質が必要とされる用途でよく用いられています.
近年使用量が大幅に増えた用途としては,リチウムイオン電極として使われるコバルト酸リチウムが挙げられます.コバルト酸リチウムを正極,グラファイトを負極としたリチウムイオン電池はそのエネルギー密度の高さから幅広い利用がなされています.ただしコバルト酸リチウムは充放電により構造が壊れやすかったり,高温では分解して酸素を発生して周りの物質が燃焼してしまうなどの問題もあり,最近ではさまざまな異なる正極材料へと移り変わりつつあるところです.
コバルトはまた磁性材料としても知られています.サマリウムとの化合物であるサマリウムコバルト磁石は,磁力の強さこそネオジム磁石に劣りますが耐熱性が高く,より高い温度まで磁力を維持できるという長所があります.
コバルトイオンを含む化合物には美しい青色などの発色を示すものが多く,絵具や陶磁器の着色などに用いられています.身近なところでは乾燥材のシリカゲルに塩化コバルトが混ぜ込まれており,水が無い状態では青に,水が配位した状態では赤に変色する特徴を生かし,乾燥状態を示すインジケーターとして利用されています.