この元素サンプルは,ゲルマニウムの単体です.ゲルマニウムは1885〜1886年にかけドイツのヴィンクラーにより発見・単離されました.ゲルマニウムという名称は,彼の祖国ドイツの古名であるゲルマニアにちなみ命名されています.
この元素サンプルは,ゲルマニウムの単体です.ゲルマニウムは1885〜1886年にかけドイツのヴィンクラーにより発見・単離されました.ゲルマニウムという名称は,彼の祖国ドイツの古名であるゲルマニアにちなみ命名されています.
メンデレーエフが周期表を考案した際,「元素の性質から考えると,ケイ素の下,スズの上には未発見の元素があるはずだ」と予測し,この元素をエカケイ素と呼ぶとともに,周期表の上下左右の元素の性質からの類推でその特性を予言しました.およそ16年後に発見されたエカケイ素=ゲルマニウムはメンデレーエフの予言とぴたりと一致する性質を示し,周期表の考え方の重要性を印象付けることとなります(※ゲルマニウム以前に,1875年にエカアルミニウム=ガリウム,1879年にエカホウ素=スカンジウムが発見されており,ゲルマニウムの発見はメンデレーエフの予言した3つの元素の最後のものとなります).
ゲルマニウムはぎりぎり金属にならない程度のバンドギャップを持つ半導体であり,一見するとまるで金属であるかのような銀色の光沢を放っています.ゲルマニウムは世界初のトランジスタの材料としても利用されましたが,温度に対する特性の安定性などにやや難があったため,現在では半導体としての利用は一部の素子に限られています.温度を一定に保つことができれば一部の特性においてはシリコンを上回るため,液体窒素冷却により温度を安定させた放射線検出器(ゲルマニウム半導体検出器)としても利用されています.