原子番号44 ルテニウム

ルテニウムの単体である金属ルテニウムの粒です.この元素は1844年にロシアのクラウスにより単離されました.ルテニウムは白金族元素のひとつですが,ルテニウムという名は,プラチナの主要産地であったロシアのウラル地方の鉱石から見つかったことと,クラウスの母国であるロシアにちなみ,白ロシア地方を指すラテン語Rutheniaから名付けられました.

Element Cube_ルテニウム

ルテニウムは白金族元素のひとつであり,白金と同じように酸化されにくい安定な金属です.埋蔵量・生産量ともにかなり限られているため,単体での利用ではなく,微量の添加物やメッキなどに少量使われることが多い元素です.ルテニウム自体が硬い事や,白金やパラジウムに少量添加すると硬化することなどから,高い耐摩耗性が必要な電気接点の保護被覆としてメッキやスパッタリングによるコーティングでよく利用されています.また,酸化ルテニウムが各種基盤で使われるチップ抵抗や,抵抗温度計の材料として使用されています.

ルテニウムはまた,各種の錯体を作りやすいことも知られており,有機化学反応における優秀な触媒がいくつも知られています(※白金族は高い触媒活性を示す元素が多い).例えば2001年のノーベル化学賞を受賞した野依先生の開発した反応でも,光学活性なルテニウム触媒が使用されています.また最近では,半導体素子の配線層にルテニウム合金を用いることで2 nmプロセス以降の微細化にも対応できる技術が発表されるなど,高価な金属ながらも実用的な用途の多い元素です.

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