原子番号67 ホルミウム

このサンプルはホルミウムの単体である金属ホルミウムです.ホルミウムはスイスのドラフォンテーヌとソレのグループが1878年に,それとは独立にスウェーデンの化学者クレーベが1879年に存在を見出しました.単体金属は1911年に得られたようです.ホルミウム(Holmium)という名は,クレーベの故郷であるストックホルム(Stockholm)にちなんで名づけられました.

Element Cube_ホルミウム

純粋なホルミウムは銀白色の金属です.他のランタノイドと同じく,常温でも酸素や水と反応して酸化していきますが,表面が酸化被膜で覆われることもあり酸素との反応はそこまで早くはなく,金属状態で比較的取り扱いやすいとは言えます.

ホルミウムは非常に高い透磁率をもつことから,磁場中でその磁場を集中させるために使われることがあります.例えば磁石の先端に鉄の棒をくっつけると,磁束が鉄の部分に集中するために鉄の棒の先端で強い磁場が現れます.ホルミウムを使って強力な磁石の磁場を一方向に集めることで,磁石単体よりもより強い磁場を局所的に作り出すことができます.

ホルミウムはまた,レーザーでも活用されています.YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)にホルミウムを少量ドープした結晶は波長2.1 μmのレーザーとなりますが,この波長域は水に非常に強く吸収されるため,生物の深くまでは浸透せず当てた部分だけを局所的に加熱できるレーザーとして医療用途に利用されています(同様の利用は,同じランタノイド元素であるツリウムやエルビウムでも行われています).

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