このサンプルはレニウムの単体である金属レニウムです.レニウムは1925年にドイツのノダック,タッケ,ベルクの3人がレニウムイオンを分離,X線分光によりこの元素を発見しました.ノダックはその2年後には100 mg程度の単体のレニウムを得たようです.レニウムRheniumという名は,タッケの故郷のライン川(ドイツ語でRhein)から命名されました.
このサンプルはレニウムの単体である金属レニウムです.レニウムは1925年にドイツのノダック,タッケ,ベルクの3人がレニウムイオンを分離,X線分光によりこの元素を発見しました.ノダックはその2年後には100 mg程度の単体のレニウムを得たようです.レニウムRheniumという名は,タッケの故郷のライン川(ドイツ語でRhein)から命名されました.
レニウムはかなり黒みがかった銀色の金属で,地殻中での存在量は(不安定核しかなくほぼ存在しない元素を除けば)トップクラスに希少といえる物質です.その存在量は1 ppb以下であり,地殻1トンあたりわずかに0.4 mg程度しか含まれていませんが,これは金の半分以下程度です.
レニウムは希少ながらも,産業上利用価値の大きい金属として知られています.例えばニッケルとの合金は高温に耐えかなりの温度まで強度を維持できることから,ジェットエンジンのタービンブレードなどに使われる超合金の一つとなっています.またタングステンに少量加えると振動が加わっても変形しにくいことなどから,耐震性の電球のフィラメントや,高温用の熱電対などにも利用されています.
化学関連でも,レニウムは重要です.原油からの改質(水素添加)では白金・レニウムを担持した触媒が用いられていますし,メタンを主成分とする天然ガスから,より分子量の大きな液化燃料への変換などでもレニウムを含む触媒が利用されています.
レニウムは工業的な重要性が高い一方,その存在量が非常に少ないのは前述のとおりです.そのためタービンブレードや触媒なども,劣化したものは回収して全量リサイクルする仕組みが出来上がっており,生産量の少なさを補っています.