原子番号78 プラチナ

このサンプルはプラチナの単体である金属プラチナ箔です.プラチナは古代エジプトで紀元前700年頃にはすでに使用されていた,非常に古い金属の一つです.プラチナという名は,スペイン人がこの金属を南米のピント川流域でで再発見した際にピント川の小さな銀(Platina del Pinto)と呼んだことに由来します(※Plataが「銀」で,これに「小さな」を表す語尾変化である-inaが付く).

Element Cube_プラチナ

プラチナはもともとは古代エジプトでも利用されていたように古くから知られた金属でしたが,西欧ではその後プラチナはあまり利用されておらず,スペインが南米の植民地化を行った際に自然プラチナを川で発見,これが西欧によるプラチナの再発見となりました.当時は銀と思われ欧州に持ち帰られたものの,銀に比べ融点が高く溶解できなかったプラチナは使いにくい金属として大量に廃棄されたこともありました.

プラチナは宝飾品としても利用されますが,産業上の利用価値も高い金属です.このため,金がどちらかといえば装飾品や資産として扱われ政情不安な時代に高騰するのに対し,プラチナは好景気で産業活動が活発な時期に高騰する傾向があります.

プラチナの代表的な用途が,触媒です.白金族全般に言えることですが,プラチナはさまざまな化学反応において非常に優秀な触媒としてはたらき,特に排ガスの浄化触媒(いわゆる自動車の三元触媒等)や水素化反応の際の触媒としてほかに代えがたい高い活性を示します.水素が関係する反応としては,ほかに燃料電池における水素の解離触媒などにも使用されています.

他の用途としては,白金抵抗温度計として-200 ℃程度の低温から900 ℃程度の高温まで,温度変化に応じて抵抗が安定して変化するその特性が利用されています.またプラチナ合金には磁性を示すものもいくつか知られており,磁気記憶媒体などへの利用が行われています.またプラチナ錯体にはDNAに結合しその機能を阻害するものが知られており,抗がん剤などとして応用されています.

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