このサンプルは,ウランの代表的な鉱物の一つ燐灰ウラン鉱です.酸化ウラン自体は2000年ほど前から硝子の着色に使われていましたが,元素として発見されたのは1789年,ドイツのクラプロートによります.単体は1841年に府連巣のペリゴーにより成し遂げられました.ウラン(Uranium)という名は,ウラン発見の少し前である1781年に見つかった天王星(Uranus)にちなんでおり,元をたどればギリシャ神話の天空の神ウラヌスに由来します.
このサンプルは,ウランの代表的な鉱物の一つ燐灰ウラン鉱です.酸化ウラン自体は2000年ほど前から硝子の着色に使われていましたが,元素として発見されたのは1789年,ドイツのクラプロートによります.単体は1841年に府連巣のペリゴーにより成し遂げられました.ウラン(Uranium)という名は,ウラン発見の少し前である1781年に見つかった天王星(Uranus)にちなんでおり,元をたどればギリシャ神話の天空の神ウラヌスに由来します.
ウランは,地球上にある程度の量が存在する元素としては最も原子番号の大きい元素です(※微量であれば,原子番号93のNpや原子番号94のPuも存在しています).地殻中や海水中に薄く広く分布していますが,経済的なコストで採掘できる鉱石の存在はかなり偏っており,現時点で確認されている埋蔵量としてはオーストラリアが最大となるようです(※ほかに,カナダやカザフスタンなどにも多く埋蔵されています).日本でも中国地方の人形峠や岐阜の東濃鉱山で試掘が行われたことがありましたが,埋蔵量が少ないため商業生産には至りませんでした.
ウランは言わずと知れた核燃料・核兵器の原料であり,国際的に監視が行われている資源です.天然ウランの大部分(99.3%程度)は核燃料には使いにくい238Uであり,核燃料とするためにはごくわずか(0.7%程度)しか含まれていない235Uを濃縮する必要があります.通常この過程では,ウランを沸点の低い六フッ化ウランに変換し,これを加熱し気化させたものを含むガスをサイクロン方式で強烈な遠心力をかけ,重さの違いを利用して少しずつ分離・濃縮していきます.235Uを3〜5%程度にまで濃縮できれば,原子炉用の核燃料として使用できるようです.核兵器向けには,235Uを90%程度にまで濃縮する必要があり,かなりの技術と時間を要します.
ウランの用途の多くは核燃料ですが,核燃料を作るための濃縮の際に出てくる不要な238Uは比較的放射能が低くしかも非常に密度が高く重い金属であるため,劣化ウラン弾として戦車砲弾等の徹甲弾に利用されています.ただ,劣化ウラン弾に関しては,使用時に飛散するウランを含む粉末が健康被害を起こすのではないか,という懸念も挙がっています(※ただし,劣化ウランに明確な健康被害を起こすような毒性があることを示す研究は無いため,現状では懸念にとどまっています).
かつては,ウランガラスとしてガラスの着色にもよく用いられていました.ウランガラスは黄緑色の美しい色合いのガラスで,紫外線により緑の燐光を示します.夜明け前の空からの紫外線などでほんのりと緑に輝くことが珍重され,1900年前後に多数作成されたガラス器が今でも数多く残っています.