原子番号117 テネシン

原子番号117,テネシンのアクリルダミーです.この元素はロシアのドゥブナとアメリカのオークリッジ国立研究所などのグループの共同研究により生成され,オークリッジ国立研究所などのあるテネシー州にちなんで命名されました.

Element Cube_テネシン

重元素の合成においては,非常に重い元素(原子番号の大きい元素)をターゲットにし,それよりは軽い元素を加速器で加速し衝突させ核融合を起こすことが必要です.特に117番元素などの非常に重い元素になると,ターゲットに用いる原子もかなり原子番号の大きい人工元素を用いることが必要となるため,実験には膨大な時間とコストがかかります.テネシンの合成においては,アメリカのチームが合成・抽出した97番元素249Bkをターゲットに(※この時点で,バークリウムを量産できるのはオークリッジ国立研究所のみ),加速した48Caを衝突させることで297Tsの生成に成功しました.なお,アメリカのグループが作成した重元素のターゲットと,ドゥブナのグループの持つ48Caのビームを高速で衝突させる実験装置との組み合わせからは,115番元素モスコビウム(モスクワにちなみ命名),116番元素リバモリウム(ローレンス・リバモアにちなみ命名),118番元素オガネソン(これらの実験を主導したドゥブナのチームリーダーであるオガネシアンにちなみ命名)の4つの元素が合成され,それぞれの国にちなみ2つずつ命名されています.

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